大判例

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東京高等裁判所 昭和54年(ネ)2355号 判決

1 ≪証拠≫によれば、控訴人は本件クラブ入会申込者に対して本件規則を送付しており、被控訴人両名も右規則を承認のうえ、その主張の金員を控訴人に預託したことが認められ、≪証拠≫のうち右認定に反する部分は措信できない。

2 ≪証拠≫によれば、本件規則第七条但書には本件クラブの理事会の決議により預託金の据置期間を延長することができる旨の定めがあるが、その同規則第二条は、本件クラブは会員が控訴人の所有かつ経営するゴルフ等の施設を利用し、ゴルフを通じて広く会員の親睦、厚生を図ることを目的とする旨を定めていることが認められるから、右第七条但書は右目的の範囲内で理事会が預託金据置期間の延長決議をし得ることを定めたものと解さねばならない。

3 ≪証拠≫によれば、右理事会は昭和五二年一〇月一三日預託金据置期間をゴルフ場開場まで延長する旨の決議をしたことが認められる。

しかしながら、右各証拠に弁論の全趣旨を総合すれば、控訴人は、本件ゴルフ場建設につき必要な用地の取得につき訴外高松山開拓農業協同組合ないしその一部の組合員との間で調整がつかず、これに関し現在民事訴訟が係属中であること、このように用地の確保ができないため、本件ゴルフ場はいまだ建設工事にすら着手しておらず、右決議当時、近い将来に本件ゴルフ場を開場することは到底望めない状況にあったことが認められる。このように、控訴人がゴルフ場を所有することも経営することもなく、会員がこれを利用することもできない状態のまま、当初の預託金据置期間を経過し、かつ近い将来この状況が解消する見込のない場合において、ゴルフ場開場まで右据置期間を延長する旨の決議をしても、その決議は前記目的の範囲を逸脱し無効であるといわねばならない。

4 のみならず、ゴルフ場の開場は、その建設工事等の状況からして開場が確実に見込まれるような特段の事情がある場合を除き、将来必ず到来する事実とはいえないから、そのような事情が認められないのになされた預託金据置期間をゴルフ場開場まで延長する旨の決議は、結局預託金の返還を条件にかからしめるのに帰着し、本件規則第七条但書によって理事会に与えられた権限を逸脱するといわねばならないところ、本件の場合、決議当時右のような特段の事情があったと認めるべき証拠はない(かえって、開場は到底望めない状況にあったことは前示のとおりである。)から、前記理事会の決議は、理事会に与えられた権限を逸脱するものとして無効である。

5 それゆえ、右決議によっては、本件各預託金債権の弁済期は変更されていないといわねばならない。

(杉本 石川 三好)

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